結婚公論
For Women
「私の家政婦ナギサさん」というドラマが高視聴率を出したという。
ヒロイン・メイは28才、仕事をバリバリ頑張るが家事が全く出来なく部屋は散らかり放題、食事も出来合い。
見兼ねた家族がプレゼントしたのが家事代行サービス、現れたのは50才の男性いわゆるオジサンだった。
ナギサさんと呼ばれる家政婦さんはいくつもの資格・免許を持つスーパー家政婦、
勿論料理の腕前もメイが思わず「天才~」と言ってしまう程。
驚くことにナギサさんは「お母さんになりたかった」そうだ。
メイの勝負服のジャケットのボタンを付け直したり、
家族のわだかまりを融かす手伝いをしたり、
仕事の相談をするようになったり、
その存在が少しずつメイの心の中に入ってくる。
理想の結婚を訊かれ「今の生活を1ミリも変えたくない」というメイの気持ちはとても良く解る。
かつて私もそうだったからだ。
結婚を考えた時に具体的に話すうちに、何故私だけが仕事をセーブしなくてはいけないのか、
住まいも変わらなくてはいけないのか、今の環境のまま過ごせないのか…と色々悩んだ。
そして先に進めなかった。
でも、メイはナギサさんと結婚した。
住む所も変わらず、仕事も更にバリバリこなす。
メイの苦手な家事は、得意なナギサさんがやってくれる。
安心して仕事に打ち込める。お互いに信頼で繋がっている。
雇用主と家政婦さんして出会った二人だ、
見られたくない恥ずかしい部分まで見られ、落ち込んだ姿も疲れ切っている姿も見られ、
家族の悩みも打ち明けていく過程で、お互いが仕事を頑張っている姿を尊敬し労り、お互いがいない生活が考えられなくなったからだ。
20以上も年が離れている現実も、
その都度二人で話し合って二人の形を自分たちの形を作って行けば良いのだと納得し、二人の生活が始まった。
私は、あーこんな形があったのかと思った、
話し合う事もせず本音も出し合えず、そう自分の事しか考えていなかった。
自分がキャリアを積んできた大好きな仕事を辞めなくてはならない事、
培ってきた人々との繋がりを無くすこと、自分だけが犠牲になると思い込んだ。
もし踏み出してみれば新しい世界が広がったかもしれない、
新しいキャリアが広がったかもしれない、
新しい繋がりもきっと出来た筈だ。
それに踏み出せなかったのは、本当に真剣に相手に向き合わなかったからかもしれないと今は思える。
「おっさんずラブ」というドラマ以来、40代50代のオジサンが可愛いとブームになっているそうだ。
ドラマだからあんなにパーフェクトに出来るんだとか、俳優さんが素敵すぎるからだとの意見もあるかもしれないが、
あんな生活の形良いよね~と思う女子は少なからずいると思う。
可愛いオジサンは結婚の形を変えるか?
カウンセラー 佐伯直美
2020.9.16